読売新聞によると、群馬県富岡市の「富岡製糸場と絹産業遺産群」が6月にも世界文化遺産に登録される都の事です(以下引用)
富岡製糸場、世界文化遺産へ…富士山に続き
政府が世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)について、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が登録をユネスコに勧告した。
文化庁が26日未明、発表した。6月にカタールのドーハで開かれる世界遺産委員会で正式決定される見通しだ。
国内の世界文化遺産は、昨年登録された「富士山」(山梨県、静岡県)に続いて14件目となり、日本の近代化遺産としては初めての登録となる。
遺産群は、明治政府が設立した初の官営器械製糸場である富岡製糸場(富岡市)を中心に、近代養蚕農家の原型とされる「田島弥平旧宅」(伊勢崎市)、養蚕教育を行った「高山社跡」(藤岡市)、自然の冷風で繭を低温貯蔵した「荒船風穴(あらふねふうけつ)」(下仁田町)の4施設で構成される。フランスの工業技術を導入し、独自に発展させた養蚕技術と組み合わせて高品質な生糸の大量生産を実現。日本の生糸輸出を1930年代に世界市場の約80%を占めるまでに育て、世界で絹の大衆化に貢献した価値を、推薦書で訴えた。(引用ここまで)
12年7月12日のブログで世界遺産への推薦を報じてから1年9ヶ月、予定通りといった所でしょう。これで上信電鉄の売り上げも少なくとも1年はアップするでしょうし、その浮いたカネでデキの維持費も捻出できるというわけで。反面、碓井峠鉄道文化むらや碓井第三橋梁(めがね橋)を有する安中市は、遺産群から外れてしまった為にそのおこぼれにすがるのが難しくなりました。ほとんどの人は製糸場とその周辺だけ見て帰るだろうし。
そのせいかヤフコメでも今回は「目出度さも、中くらいなり何とやら」というコメが目立ちました。曰く「最近、世界遺産が増えすぎてありがたみがなくなってきたような…『モンドセレクション金賞化』しないといいが」「野麦峠を越えてやってきた女工さんの、涙と汗も忘れないでよ」「正直こういう『~遺産』商売好きじゃない」「世界遺産とかギネスとか好きですね。海外ではどちらもこんなに騒がれませんよ」といった感じですが、今回キタのは2つ。
「世界遺産とか大騒ぎするのはもう止めようや。登録してもしなくても、いい物は良いし、ユネスコの評価はただの
一団体の評価なんだから。日本人は海外の評価で初めて騒ぐが(石見銀山とか)、日本での評価がまず一番大事でしょ。ユネスコ以前に歴史的価値などを国民が認識していくのが大事。単なる観光資源で終わらせてはならない」
「世界遺産にしたい地方自治体は、本当にその遺産を価値があるものとして捉えているのか。これはどの地方自治体に対しても思っている事だが、単なる観光資源としてしか捉えていない。世界遺産にすることで、今までのような生活や活動が出来なくなる事も、登録を維持するための管理経費が掛かって財政を圧迫したり。そういうリスクを負っても「遺すべき財産」と考えての登録推進なのか。一度きちんと考える時期ではないのか」
石見銀山の世界遺産登録は、世界史の中における日本の銀が果たした役割と、その影響が評価されての事ですし、白川郷のように普段の生活圏が脅かされるとして、世界遺産なんかなるんじゃなかったと考えてる所もあります。何よりどことは言わないけど、雇用が促進されると言いながら、実際は外部から来た業者にカネが落ち、地元には落ちない。だけど法人税はたっぷり入って来るから自治体は儲かるという公式が、とある世界遺産を構える場所で実際に起きてます。ここでも同じ事が起きないとは言い切れません。
登録自体は素直に喜びたい半面、こうした問題点を先送りにしたままだと、あっという間にバブルは弾けてシャッター通りに逆戻りとなりかねないだけに、地元にはバブルに浮かれず後世にきちんとした形で残していくという、しっかりした対応が求められています。その内、野麦峠やら女工哀史やらを盾に、戦時中に強制労働させられた分の賠償金を払えとか言い出す、自称・元女工に集団訴訟起こされない為にも。
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